こんにちは。発信型言語習得&医学部・難関大受験塾「岡山進学でざいん」(以下、OSD)です。私たちは、単語学習を無味乾燥としたインプット作業とは見なしていません。単語の成り立ち(語源)を考えて関連語彙を広げていく、知的好奇心がくすぐられる体験だと捉えています。OSDの授業で語りきれなかった単語や、来春の入試で出題が予想される時事的なトピックを読み解くの必要な単語について、「語源探究」シリーズとして、記事を少しずつアップしていきます。第3回は、petition です。大学受験の文章でよく見かける単語ですが、一度も出会うことなく受験会場に行く人が多いのではないでしょうか。petitionの関連語から紹介していきます。
突然ですが、みなさんはUNIQLOやGUで衣類を購入したことはありますか? 戦後まもなく山口県宇部市でで産声を上げた現在のUNIQLOは、国内に約850店舗を展開する、アパレル小売業界では国内最大規模のブランドですね。2012年春、旗艦店としてユニクロ銀座店がオープンした時の衝撃を今でも覚えています。現在(2022年4月末)、女優の綾瀬はるかさんがテレビCMに出演していますが、彼女を通じて「ふだん着の日が、人生になる。」というメッセージを発信しているようです。UNIQLOはクオリティの高いふだん着を我々に安く届けてくれています。しかし、私たちが安く購入しているその商品は誰の手によって製造されているのでしょうか。
2013年4月、バングラデシュで複数の縫製工場が入った複合ビルが崩落しました。その事故の犠牲者は1138人、負傷者2500人以上、行方不明者500名以上を出す大事故でした。Wikipediaに紹介ページがあるほど、この「ラナ・プラザの悲劇」は世界的に知られています。この悲劇を繰り返さないために、UNIQLO、H&M、ZARA、Tommy Hilfigerなどアパレル企業222社が、「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(Accord on Fire and Building Safety in Bangladesh)」に署名しました。この協定は法的拘束力があったものの、その取り組み方は当初、企業によってまちまちでした。この問題を取り上げたThe New York Timesの記事が、2014年2月25日実施 横浜国立大・医学部等の前期日程で出題されました。
「売上をもっと伸ばしたい、企業を成長させたい」と価格競争で常に勝ち続けるために、安い労働力を求めて途上国に工場を建設します。アジア最貧国として知られるバングラデシュでは、違法増築された建物で無許可営業が繰り返されていたなかで、この大惨事は起きてしまいました。その後の企業の取り組みが不十分だったことを受けて、非営利団体のAvaazがオンライン嘆願書を出しました(Avaazはヨーロッパ、中東、アジアのいくつかの言語で「声」を意味する語で、政治的お酌や貧困、紛争、気候変動などの様々な問題に対して行動するよう呼びかける団体で、2022年4月末時点で7000万を超える会員が世界中にいます)。
さて、やっと英単語の話ができそうです。直前の段落で太字にしたことばを英語にしてみます。
・appetite for money「金銭欲」
cf. appetizer「(食欲を促進するための)前菜」
・price competition「価格競争」
cf. competitive「競争力のある」、competence「適性・能力」
・perpetually「常に、永遠に」
・repeatedly「繰り返し」
cf. repeat「~を繰り返す」
・petition「嘆願書」
→ラテン語petere(ペテーレ)「捜し求める(seek)」より、いま紹介した単語はすべて【pete = seek】でつながります。
アパレル業界に限った話ではありませんが、劣悪な労働環境で低賃金で働く人々の安全や生活の保障はどれほど真剣に考えられているのでしょうか。いま、ファッションに対する考え方をどんどん見直されて、sustainable & ethical fashionという言葉が生まれています。企業の社会的責任(CSR)を果たしつつ、持続可能で倫理観をもったファッションが世界中で求められています。
語源探究第3回は、ラテン語petere(ペテーレ)から生まれたpetitionから、単語のネットワークを広げていきました。どの語も基本的なものですから、しっかりマスターしてくださいね。