セミナーレポート#1 共通テスト古文

みなさん、こんにちは。岡山進学でざいんでは、4月29日(金祝)~30日(土)にわたって、OSD特別セミナーを開催しました。学校の勉強をきちんとこなし、基礎学力がついている参加者にも、意外な発見があったようです。以下、参加者の言葉を紹介します。

「読解以前の重要な背景知識や問題に取り組む姿勢を学べた」
「学校の授業や独学だけでは知り得ない、重要な示唆を得た

センター試験時代からトップ層を悩ませ続ける「国語」。上位生でも古文は満点を取りづらい科目といわれますが、共通テストになって何が変わったのか、変わらず大事なものは何か。共通テスト導入前に報道番組『NEWS23』(TBS系列) などのメディアからの取材を受けたり、令和4年度(2022年1月実施)の本試験の出題形式&問われ方を見事的中させたりと、その分析力にも定評があるOSD講師ががレクチャーしました。今回は、「古文早期完成デザイン ―正攻法で挑む共通テスト古文入門―」の内容を皆さんにお伝えします。(1)出題される時代の変化(2)問題形式の変化の2点についてです。

問題文と対峙するとき、あなたは何に焦点を当てるか。
それが得点力向上の第一歩です。

(1)出題される時代の変化

まずは出典について。おおまかなイメージをまず下の表でつかんでみましょう。

時代古語:現代語出題の割合
平安100:0センターほぼなし / 共テ2021
鎌倉80:20センター2割程度 / 共テ2022
室町70:30センター3割程度 / 共テなし
江戸50:50センター5割程度 / 共テなし

室町時代以降に「大きなうねり」があると言われています。表から明らかなように、現代語が徐々に浸透し始め、江戸時代の文章ではおよそ半々の割合にまでなっているのです。「現代人の感覚に近づいていく」言語学的な変化が14世紀中ごろから少しずつ始まっていたのですね。センター試験時代は「いまの高校生にもなんとなく理解できる」文章がよく出題されていた、ということです。
室町時代以降の大きなうねりについて、いくつか例を挙げてみましょう。上一段活用の「用ゐる」を、漢文の書き下し文では、わざと古めかしさを感じられる演出として、上二段活用の「用ふ」「用ゆ」と訓読させることがあります。裏を返せば、室町以降は読みやすくなったということですね。また、助動詞「らし」は、平安時代まで「根拠のしっかりとした推量」でほぼ確実であることを意味したのに対し、室町時代以降は「確実性がかなり落ちた単なる推量」で、現代語の「らしい」に近づいています。

共通テストの1年目・2年目は、それぞれ平安時代、鎌倉時代からの出典、つまり「古語だらけの文章」が出題されています。センター試験時代のように「なんとなく読めてなんとなく点数が取れる」ことは期待できません。確固たる実力が問われているということなのです。都内の難関私大(GMARCH)レベルの問題でほぼ満点をとれる実力をつけるイメージです。とはいえ、理系志望の人には私大古文演習の時間は確保できませんから、英語と同じように「一つの外国語」として捉え、早い段階から文法や単語を身につけて、本番形式の問題に慣れていく必要があります。

(2)問題形式の変化

2022大学入学共通テストの第3問は、【文章Ⅰ】に『増鏡』、【文章Ⅱ】に『とはずがたり』が出題されました。文章に入る前のリード文にはこう記されています。

【文章Ⅰ】の内容は、【文章Ⅱ】の6行目以降を踏まえて書かれている。

単に文章が2つ出たということではなく、ある文章を引用してそれを要約した文章と、もとの文章を2つ並べて、両者を行き来しながら文章を比較検討しながら深く読ませていく問題です。OSD講師はこのタイプを「引用要約文比較対照問題」と呼び、共通テスト導入一年目から本番直前に練習を積ませていました。その練習問題が、2004明治大学文学部の第2問です。【文章Ⅰ】に『十訓抄』、【文章Ⅱ】に『枕草子』が出題されました。共通テストと明治大学の問題を並べてみます。以下のスライド資料を拡大してご覧ください。

2022共通テスト第3問と2006明治大学第2問の比較

赤枠の部分が、オレンジ色の点線で囲った【文章Ⅱ『枕草子』の要約文です。【文章Ⅰ】の『十訓抄』では、その引用要約文をうけて、「さればとて、とみのことなどの出で来たらむに・・・」と、持論を付け加えています(この比較対照が問七で問われています)。緑色の点線で囲った部分が【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】を比較して考察している点を問うているところです。

この引用要約文比較対照問題は、小問ごとに2つの文章を行き来しながら解答する必要がありますので、処理に時間がかかります。【文章Ⅰ】→【文章Ⅱ】→【文章Ⅰ】の順で読んだうえで設問に移るのが確実ですが、このやり方では時間が足りなくなります。日頃から、本文中の言い換え表現を紡いで読み進めたり、本文と設問とを関連づけながら読んだりする習慣をつけておきましょう。古文文法や単語がおぼつかない状態では、この作業に文章の内容に集中することは難しいでしょう。

共通テスト古文を早期完成に向けたグランドデザインをまとめます。

  • 古典文法(特に助動詞や敬語)は高1までに完成させる
  • 重要古文単語は高2までに一通りインプットを終える
  • 高2までにセンター試験(本試験)の過去問に挑戦して、インプット済みの古文単語を「本番で使えるレベル」に引き上げるとともに、文章や選択肢の長さに慣れる
  • 引用要約文比較対象問題などの複数テクストを処理する問題は、模試で真剣勝負をする
  • その模試を、複数テクストと選択肢の言い換え表現を徹底的に確認、丁寧な復習を続ける
  • (文系の人は)高3の春から夏にかけて、首都圏のGMARCHレベルの入試問題に挑戦する

以上、OSD特別セミナーレポートでした。上記グランドデザインをもとに、具体的にどんな学習を進めていくべきか、そのマクロなデザインが気になる方は、ぜひ一度教室へお越しください。アクセス・お問い合わせから、メールでも質問を受け付けております。


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