東大英語—4(A)正誤判定は英作文問題でもある

みなさん、こんにちは。OSD岡山進学でざいんの公式Instagramに投稿した「正誤判定の出題者の視点を知る」について、少しだけお話しさせてください。

Instagramに投稿した写真は、OSDの必修講座Ad(上級)クラスで「注意力診断テスト」と題して実施した問題(一部)です。これは文法・語法問題であると同時に、英作文の見直し力を測るテストでもあります。投稿写真には全部で6つ誤りが隠れています。「自分の書いた英文に誤りがないか?」という視点で、数や冠詞のミス、綴りや活用のミス、時制のミスがないか、探してみてください。

夏休みまでは受験生にとって基礎固めの時期。OSDでは2~5行の日本語を訳す作業を毎週何本もしていますが、その過程で時制の選択に迷いがなくなっていきますし、個々の癖も矯正されていきます。基礎体力がある程度ついてきた段階で正誤判定問題を解くと、生徒さんはそこそこの手ごたえを感じてくれます。

東京大学(The University of Tokyo)では2019年から4年連続で4(A)は正誤判定問題が出題されています。文章自体、なかなか骨のあるもので、英文を読む基礎体力が十分についていない受験生には厳しいですよ。

2000年代の東大4(A)といえば「不要語指摘問題」でした。2001・02・05・07~12(6年連続)とここまでに9回出題され、2014年を最後に姿を消しました。そのうち、2001・08・09・12・14の問題文には「文法上あるいは文脈上取り除くべき語が…」という指示が付け加えられています。notやhardlyを不要語として指摘させるわけです。英文をパズルのように読んでいた受験生は絶対に気づかない問題でした。

たとえ文法問題でも、文章の言いたいことをつかんでほしいという出題者のメッセージは昔から変わりません。直近の東大は段落ごとに誤りを1か所作っています。2021年の4(A)の1問目(21)において、否定語littleを削除させる出題がありました。この問題を解いているときに、「懐かしいな」と思った関係者は多かったはず。東大受験生で「昔、否定語を削除させる問題がいくつもあった」ことを知っていれば、優れた過去問研究ができている証と言えるでしょう。”one paragraph, one message” ですから、否定語周辺が誤りだという問題が出題されてもおかしくありませんね。実際の問題が気になる方は、過去問にあたってみてください。

意見論述型の自由英作文でも”one paragraph, one message”は重要です。無計画に書き進めると、結果的にこの原則を守ることができない答案に陥ってしまうことも。例えば、書き出しは「原発反対」の立場で書き始めたのに、原発関連企業で働く人々や電気料金の急激な値上げに苦しむ市民生活のことに触れて、「原発を撤廃することはできない、条件的賛成だ」と締めくくってしまう… こういう作文は0点です。否定語ひとつを間違えてしまったら、それだけで自分の立場を誤って伝えてしまう恐れがあります(本当は「…とはいえ、やはり使用済み核燃料の処理問題や原発事故のことを考えると私はやはり原発には賛成できない」と締めくくるべきだったのでしょうね)。

閑話休題。東大4(A)正誤判定問題の話に戻しましょう。問題を解く際は、「この段落(文章全体)は何を伝えようとしているのか」という点を忘れずに、同時に「構文を瞬時に見極めること」を意識し、重要語の品詞や語法にも注意を払いましょう。点検項目の一部を紹介します。

  • 英文の主要素(主語、目的語、補語)のどれにも当てはまらない”裸の名詞”が存在しないか?
  • ダミー定型表現ではないかと疑ってみたか?(例.その〈be to不定詞〉は必要か? その〈let alone+名詞〉は文中で浮いていないか?)
  • 重要動詞を含むゾーンに下線が施されているとき、その語法チェックは怠っていないか?(例.remindの後続要素は?)
  • 問われている動詞が自動詞か他動詞かを常に考えているか?(例.”became consisted of…” を見た瞬間に「気持ち悪い」と感じたか?)
  • 重要多義語のotherwiseの用法は例文とともに入っているか?(2020, 2008東大4(A)を実際に解いて確認してみよう)
  • 英作文校正時の2大点検項目[数と時制]も確実に行っているか?(可算 vs. 不可算、time vs. times[sの有無で意味が変わるシリーズ]、先行詞とwh-節内の動詞の三単現チェック、時制の一致、現在完了か過去時制か…

このような点検は、正誤判定問題だけでなく、日頃の英作文にも役立ちます。基本的な文法を身につけたら、4択問題や穴埋め問題(同意英文完成問題等)はいち早く卒業してください。そして、英作文問題にどんどんチャレンジしましょう。そして、たまに正誤判定問題に取り組んで、校正スキルを磨きましょう。

大学入学共通テストの新時代の大学受験では、4択問題や穴埋め問題は絶滅危惧種に認定されています。少なくともOSDはそのように考えています。みなさんが普段使っている問題集を見てみてください。どうなっていますか? ちなみに、OSDの教材には絶滅危惧種は今のところ一つも載っていません。

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[2022/06/03 インスタクイズの解答&プチコメント]
01 fighted → fought 注意力診断問題。活用の誤り… 英語ができる子もこの問題は見落としがち)
02 dedicating → dedicated 基本問題。動詞の語法と能動受動について。dedicate[devote] A to B「AヲBニ捧ゲル」より。A=oneselfになりがちな動詞は受動態で用いられることが多い。
03 He was only by… → It was only by… 基本問題。典型構文は正しく!強調構文〈It is x that…〉です。only by…という部分で、はっと気づいてほしい問題。東大「不要語指摘」時代は、よく見る構文や熟語に見せかけたダミー文を作るという出題がいくつか見られました。
04 to talk → talking 超基本問題。
05 furnitures → furniture 基本問題。baggageが「bag, suitcaseなど旅行の時の手荷物のすべて」を指すように、furnitureは「chair, sofa, desk, table, cupboard, bookshelf,…など家具類すべて」を指します。したがって、1つ、2つと数えずに、どれくらい手荷物[家具]があるかと量で考えます。
06 has broke → has broken 〈have/has+p.p.〉〈助動詞+have+p.p.〉を作文するときに、「頭ではわかっているのに過去形を続けてしまう」生徒さんをよく見かけます。現在完了や受動態を最初に倣ったときに代表的な動詞の活用をインプットしきれていなかった方に多い現象です。過去の自分を悔いても仕方ありませんので、「自分にはこういう誤りの癖がある」ことをまず自覚し、常に見直して気を付けましょう

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