語源探究 #4 多義語order

こんにちは。発信型言語習得&医学部・難関大受験塾「岡山進学でざいん」(以下、OSD)です。授業レポートとして、ふだん通ってくれている生徒さんの復習のために、そして英単語学習を頑張ってたまたまこのページにたどり着いてくれた皆さんのために、この語源探究シリーズを少しずつ公開していきます。私たちOSDは、単語学習を無味乾燥としたインプット作業とは見なしていません。単語の成り立ち(語源)を考えて関連語彙を広げていく、知的好奇心がくすぐられる体験だと捉えています。

前回はpetitionという大学受験では難レベル(?)の単語を扱いましたが、4回目の今回は、2014年東京大学第5問の知識問題として出題された多義語orderです。今回はミニテストから始めてみましょう。

各文の意味を考えなさい。
ア)Arrange the conditions in descending order of priority.
イ)It was you that brought order out of chaos and light out of darkness.
ウ)Some rulers want to restore the old order.
エ)What a tall order! I have to sit up as late as four to complete the report.
オ)Talk about how to put your belongings in order and you two will be saved from stress.
カ)In order that training be most effective, it must be designed systematically.
キ)Order! (order!) I’d apologize for interrupting the Prime Minister. There’s far too much noise in this chamber, and (order! and) far too many members who think it’s alright for them to shout out their opinion at the Prime Minister. Let’s be clear it isn’t. The statement will be heard and there will be ample opportunity in conformity with convention and as established by me over the last decade for colleagues to question the Prime Minister, but the statement will be heard and it will be heard with courtesy.

英文の一部または全部に空所をあけて、バラバラにした単語を提示して、正しい英文になるように並べ替えてごらんという問題のことを、受験業界では「整序問題」と呼びます。多義語orderはこの「整序」から広げることができます

黒板にorder周辺をまとめてみた(というよりも思いのままに書いてみた)ものをご覧ください。orderはラテン語ordinem, ordo(列)から「並んでいる」「整っている」というイメージがコアにあります。「序」の字から拡張していくといいかなと思って、黒板の真ん中に赤字で書いています。
・順番通りに注文を受けてほしい
・指示命令系統が秩序だっていないと組織は崩壊する
・辛抱強く行列に並んで待っていれば、前のお客様に続いて(subsequently, in turn, then, in oder toV…)入店できる
・物事が順番通りに進んでいるのが正常な状態、そこから外れればout of orderで「故障している」「度が過ぎた」、disorderなら「異常、障害」、extraordinaryは「常軌を逸している」…
多義語の学習の場合、コンパクトにまとまった単語帳などを眺めるのではなく、こんなふうに、例文やフレーズを自分なりにまとめてみることをおすすめします。(inとセットで使うと「順序」の意味が多いなぁ、その反対がout of orderかしら…)コロケーションを意識すれば英作文にも役立ちます。

さて、冒頭の問題の答え合わせをしましょう。どれも入試で問われてもおかしくないレベルですよ。

訳例
ア)条件を優先順位の高い順に並べてください。【順序
イ)混沌から秩序を生み、暗闇に光をもたらしてくれたのは、紛れもなくあなたでした。【秩序
ウ)古い秩序[→旧体制]を復活させたいと願う統治者がいます。【秩序→体制
エ)無理難題です!朝4時まで徹夜して報告書を仕上げる必要があります。【命令/注文
オ)持ち物をどう片づけるべきかを話し合えば、あなたたち二人をストレスから解放されます。【整然とした状態
カ)トレーニングが十二分に機能するためには体系的にデザインされたものでなくてはなりません。【in order that SV…順序→目的の接続詞
キ)「静粛に! 首相、割り込んですみません。議場がうるさすぎます。静粛に、自分の意見を首相に叫びぶつけてもいいと思っている議員が多すぎます。はっきり言いますが、それは許されません。首相の演説は聞かれるべきですし、慣例通り私が10年間やってきました通り、首相に質問する時間はたっぷり確保します。首相の演説は聞かれるべきで、しかも礼儀をもって聞かれるべきです。【秩序ある状態に→静粛に

最後のキ)についてはぜひ動画を確認してください。

英下院議長の“野次の諫め方”②

ジョンソン首相の演説中に野次を諫めるバーコウ下院議長の様子をぜひご覧ください。上述の問題キ)はこの動画の0:38あたりから文字起こししたものですが,ぜひ冒頭の首相演説から! 仕事の疲れが吹き飛ぶほど私は笑ってしまいます。真剣そのものなのですが・・・ごめんなさい、バーコウ先生。

語源探究第4回は、多義語のorderでした。ふだんの授業では皆さんの復習にお任せしていますが、今回は簡単にまとめておきます。

語源「整う」のorder
ジョジョジョ、ジョウ?(序序序、常?)
ジョン・バーコウ議長のおおだあああああ
・整序
・秩 → 治安、体制
・順 → 整列 → 命令 → 注文 → Order! 静粛に!
・正 → 整然とした状態


みなさんの頭の中にある語彙情報は整理されていますか? 引き出しのなかがぐちゃぐちゃのままでは、スピーディーに英文を読み進めていくことができません。そういう人を見かけたらこれからはみんなで「おおだあ!おおだあああああ!」と叫びましょう。私もデスク周りを整理整頓しなくちゃ。それでは今回の語源探究はこのへんで。

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